日本版投資銀行とはどのようなものか?
< ひとことで言えば「日本最高の株主」である >
1.長期投資がなければ国は立たない
- 日本の農林水産鉱業、製造業、サービス業は長い歴史のなかで継続的な産業への投資によって育ってきた
- 日本の文化や工芸や芸術も長期的な投資によって育ってきた
- 平城京、平安京、鎌倉、江戸、そして明治以降の東京など、都市計画は長期投資の基本戦略
- 明治の殖産興業、戦後復興も長期投資によってはじめて実現した。渋沢栄一、日本興業銀行など
- 幕末に農村立て直しを行った二宮尊徳も投資の必要性を重視して、日本最初の信用組合を作った
2.市場原理だけでは長期投資は成功しない
- 市場原理に翻弄されて未熟なまま崩壊の危機に瀕する新興国経済
- 自由な資本市場がなかったから逆に安定的に構造変化を達成できて成功した日本の近代化
- 経済は放っておいても動く。しかし人が手をかけないと隅々にまで繁栄の恩恵が行き渡らず、変化への対応が十分に進まず、長く続かない
- 同時に適度な変化や競争がないとシステム全体が腐敗する
3.投資銀行とは国家の最高の叡智を結集したものである
- 人、技術、情報、学術、芸術、資源、市場、ルール、政策、外交、そしてお金を直接結び付けることが仕事
- 長期投資を成功させる経営のリーダーシップを持っているのが投資銀行。日本最高の株主
- 投資先と二人三脚で経営していく
- 投資先あるいは潜在的投資先に対してあらゆる必要な変化のアレンジを行う
- 継続的な経営への関与によって産業転換、イノベーション、市場変化への対応などを柔軟化
- イメージとしてはお金を扱う銀行というより、日本経済全体のオペレーションセンター
4.日本版投資銀行に求められる目標
- 健康と持続可能性の高い日本社会を具体的に実現させる
- 日本の巨額な貿易赤字を減らすための国内の供給力強化と産業の再生
- 国内に眠る資源、産業力、労働力の有効活用によって内需中心の経済再生と貧困撲滅
- 資金を資本として投資する際に生まれるリスクの管理とリスクに対応した資本金の充実
- 各国の個別事情にも配慮した世界市場への無理のないアクセスを通して安値競争に陥らない外国投資と貿易の拡大、受け入れ
- 巨額な財政赤字にかんがみて投資銀行の資金は民間資金の活用を基本とする
- 国内の金融システムに滞留する莫大な資金を活用
- 第1次、第2次、第3次産業の大中小企業、個人企業を対象
- 創業支援から転廃業まで、あらゆる企業のフェーズに対応
- 資金を動かすシステムには多様な方法がある(融資、株式、債券、証券化、保健、信託、基金など)
- 地方経済、地場産業復興育成の必要性
- 少子高齢化に合致した労働環境、産業環境の必要性
- 町の発明家、個人事業主の育成支援
- 最先端科学技術の振興(ナノテク、微生物、生命、素粒子など)
- 長期雇用、熟練で得られる実力を競争力の源泉とする労働力の充実
- 教育研究機関との連携
- 国および地域における政策との整合性
5.日本版投資銀行を考える2つの柱
- どのようなシステムにすればよいか
- どんな投資をすればよいか
NSP投資銀行研究会 | 認定NPO法人 日本再生プログラム推進フォーラム